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YAMAP(ヤマップ)の現在地点とこれから 〜 第10期、第11期決算公告によせて 〜

ヤマップ代表の春山です。

2013年に創業したヤマップは、今年6月に第11期(2023年7月〜2024年6月)を終えることができました。

コロナ、ウクライナ・中東での戦争、能登半島での地震・水災害など、絶えず変化する社会情勢の中でも、会社・事業を継続できておりますことは、ご愛顧いただいているユーザーのみなさん、サポートしてくださっている株主・関係パートナーのみなさんのおかげです。ヤマップのメンバーを代表して、心よりお礼申し上げます。有り難うございます。

「会社は社会の公器」。その想いから、会社のプロセスや状況をできるかぎり共有し、透明性のある会社経営を行っていくべく、第8期よりヤマップの決算公告をnoteにて共有してきました。

第8期の決算公告
第9期の決算公告

第10期の決算公告のnoteに関しては時機を逸してしまいました。第11期と合わせて共有いたします。

第10期、第11期の決算公告について

第10期(2022年7月〜2023年6月)と第11期の決算公告(2023年7月〜2024年6月)は下記の通りです。

第10期と第11期の決算公告

売上高推移と利益推移

売上高推移と利益推移のグラフを掲載いたします。

第7期から第11期までの売上高 & 利益推移

第10期の売上高は15億6180万円(前年同期28%アップ)、第11期の売上高は19億7400万円(前年同期26.3%アップ)となりました。売上高アップの要因は、主軸事業であるYAMAPプレミアム会員数の増加とYAMAP STOREの伸びです。

一方、第10期の利益はマイナス4億4393万円(前年同期:マイナス2億4743万円)、第11期の利益はマイナス4億1890万円(前年同期:プラス3749万円)です。利益がマイナスとなっている主な要因は、少額短期保険の代理店業から撤退したこと、損害保険会社設立に向け、保険事業に携わるメンバーを採用したこと、資金調達ならびに保険会社設立に想定以上の時間がかかり、保険事業の開始が予定より遅れたこと、円安に伴うサーバー費用の増加、業務拡大に伴う東京オフィスの移転費用などがあげられます。

第10期・第11期は、第12期以降の成長と飛躍のための"しゃがみ込み"の時期ととらえています。ヤマップでは引き続き一定の赤字は織り込んだ上で、先行投資を続けております。ベンチャー企業として、短期的な売上をつくりながらも、中長期インパクトと長期利益を第一に、組織づくり・事業基盤固め・事業成長へ注力をしていく方針です。

第10期、第11期の主なトピック

▼ 第10期(2022年7月〜2023年6月)の主なトピック

・2022年7月:YAMAP山登りベストコース 関東周辺版発行
・2022年8月:活動中に目的地までのルートと所要時間が簡単にわかるルート探索機能をリリース
・2022年8月:YAMAPのパーパスを「地球とつながるよろこび。」に刷新
・2022年8月:誰でも簡単に使えることにこだわったApple Watch対応版リリース
・2022年10月:DOMO2022 年度グッドデザイン賞・ベスト100受賞
・2022年12月:登山に最適化した消費カロリー計算の導入
・2022年12月:「サブスク大賞2022」グランプリを受賞
・2022年12月:第17回ニッポン新事業創出大賞 最優秀賞「独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長賞」受賞
・2023年5月:実証実験山を歩くことで血圧低下に効果、脳疲労を改善発表
・2023年4月:身近な山を歩く山歩(さんぽ)しようをリリース
・2023年5月:デロイト トーマツ グループTechnology Fast 50 2022 Japan4位入賞
・2023年6月:日本DX大賞2023 SX・GX部門で大賞受賞
・2023年4月:日本山岳歩道協会設立メンバーとして参画

▼ 第11期(2023年7月〜2024年6月)の主なトピック

・2023年8月: 登山の記録を立体的に振り返る3Dリプレイ機能をリリース
・2023年8月:予報精度No.1ウェザーニュースとの天気予報データ連携をスタート
・2023年9月:コースタイム標準化機能をリリース
・2023年10月:YAMAPアプリ累計400万ダウンロード突破
・2023年11月:自然に特化したふるさと納税YAMAP ふるさと納税をリリース
・2023年12月:登山中に同行者の現在地がわかるグループ位置共有機能をリリース
・2024年2月:集英社こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方発売
・2024年3月:主婦の友社おもしろすぎる 山図鑑発売
・2024年3月:Apple Watchに続くWear OS by Google版リリース
・2024年3月:東京オフィスを港区西新橋に移転
・2024年5月:ヤマップネイチャランス損害保険株式会社設立ならびに2つの保険商品販売を開始
・2024年5月:YAMAP 流域地図リリース

上記主なトピックから2つをピックアップします。

1) パーパスの刷新

2022年8月にYAMAPのパーパスを「地球とつながるよろこび。」に刷新しました。「日本発のアウトドア企業として、日本の自然観を象徴するサービスをつくり、届けていきたい」「山に行く人が増えることで、山がより豊かになる仕組みをつくっていきたい」そんな思いも、パーパスに込めております。「地球とつながるよろこび。」を道しるべに、事業・サービス開発に邁進してまいります。

2) 資金調達、保険会社の設立

2024年5月に、資金調達と損害保険会社設立のご報告をいたしました。ベンチャー企業が、損害保険会社を立ち上げることはほぼ前例がなく、達成までの道のりは険しいものがありました。ですが、様々な方々のご協力・ご支援のおかげで、無事にヤマップ独自の保険会社を設立することができ、YAMAPアウトドア保険の販売もスタートしております。今後、YAMAPの行動データを活用した保険を展開してまいります。

YAMAPアプリダウンロード数の推移

YAMAPアプリのダウンロード数は2023年10月に400万件、2024年9月時点では460万件を突破しています。登山における国内No.1アプリとして成長を続けています。

国内における登山アプリサービス利用者数の比較は下記の通りです。

2024年10月 登山アプリ利用者数調査 (App Ape調べ)

・調査期間:2023年10月 〜 2024年9月
・調査対象:「地図&ナビ」「スポーツ」「旅行&地域」の3カテゴリのうち、名前もしくは説明文に「登山」という文字が含まれているアプリ
・調査項目:MAU(対象期間にて対象アプリを起動し実際に利用したユーザー数)

App Ape調べ

自治体との遭難対応 & 登山届け連携の拡大

各自治体と遭難対応ならびに登山届け連携を拡大しています。連携先は全都道府県の半数以上(27府県)となりました。

遭難対応や登山届けに関して、YAMAPと連携している都道府県の数は27府県(2024年10月時点)

また、YAMAP経由での登山届けの件数が、全体の登山届け提出件数アップに貢献しています。2022年、群馬県では登山届け全体の56%がYAMAP経由となっています。「YAMAPはいのちに関わるサービスである」ことを忘れず、自治体との連携を拡大し、遭難道迷いの防止、遭難時の迅速な対応を進めてまいります。

YAMAP経由による登山届けの提出数推移

・上毛新聞記事:「ヤマップ」での登山届提出が22年は56% 群馬県警と協定結んだアプリで迅速な救助が可能に。
利用広がるYAMAP経由の登山届|登山計画からの提出で手間を削減、提出率アップ【遭難ZEROプロジェクト担当レポートvol.1】

主なメディア出演まとめ

コロナ以降、自然や外遊びへの社会的関心が高まってきたせいか、メディアにお声がけいただく機会が増えました。YAMAP起業の背景や事業に込める思いをお伝えするよい機会にもなりました。お声がけいただいたメディアのみなさまに、この場を借りてあらためてお礼申し上げます。

▼ 第10期
・2022年7月:朝日新聞「フロントランナー
・2022年8月:NewsPicks 春山慶彦という狂気
・2022年8月:NewsPicks YAMAP創業者と登山したら、地球の問題が見えてきた
・2022年12月:ITmedia「登山人口は減っているのに、登山アプリ「YAMAP」が成長するワケ
・2023年1月:HORIE ONE「急成長のベンチャー企業ヤマップの挑戦
・2023年1月:PIVOT「宮台真司がシンクロした起業家
・2023年3月:季刊のぼろ Vol.40
・2023年4月:日経トップリーダー 連載「壁を超えろ
・2023年6月:カンブリア宮殿
・2023年6月:日経クロストレンド「ヤマップ」がファンを魅了する工夫
・2023年8月:毎日新聞「水説」一隅を照らす人たち

▼ 第11期(2023年7月〜2024年6月)
・2024年2月:日経新聞「低山人気
・2024年5月:土中ラジオ「YAMAP流域地図」で生命圏をとらえなおす
・2024年5月:渋谷の柳瀬博一研究室、渋谷のラジオ

▼ 第12期(2024年7月〜 )
・2024年7月:【本音茶会】じっくりブランディング学 with 工藤拓真
・2024年8月:TAKRAM RADIO with 渡邉康太郎

最後に

創業者として、経営を預かる代表取締役として、今まで以上に経営と事業に深くコミットしていきたい。この1年のさまざまな経験を踏まえて、その思いを強くしています。

ヤマップはソフトウェアを軸に登山領域で複数の事業を展開するなど、前例のないビジネスに挑戦しています。新しい領域に挑戦しているからこそ、「何が正しいか」以上に、「何が楽しいか」や「私たちは何を大切にする会社なのか」など、内在する価値観や美意識を大事にしていきたい。答えややり方を外部に求めず、内在する価値観や美意識をもとに、自分たちで答えもやり方も生み出していく。YAMAPらしさを貫き続けることが、YAMAPの成長に最も寄与する。創業者として代表取締役として、経営と事業にコミットしながら、そのことを体現、実践する人でありたいと思います。

今後も、YAMAPの事業や組織を深化させながら、ユーザーさんによろこんでいただけるサービスを届けてまいります。引き続きのご愛顧、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。


おまけ

2022年7月から今までの間で、印象深かった本3冊を下記に紹介します。読書の秋のおともにぜひ。

北康利さん『本多静六 若者よ、人生に投資せよ』
角幡唯介さん『書くことの不純』
大田嘉仁さん『運命をひらくノート(約三十年、稲盛和夫氏のもとで学んだこと)』

YAMAPの本棚より抜粋