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YAMAP(ヤマップ)の現在地点とこれから 〜 第9期決算公告によせて 〜

ヤマップ代表の春山です。

2013年に創業したヤマップは、今年6月に第9期(2021年7月〜2022年6月)を終えることができました。

長引くパンデミック、戦争、世界的なインフレ、急激な円安など、社会情勢が不安定な中でも、サービスが成長し、会社経営ができておりますことは、ご愛顧いただいているユーザーのみなさん、サポートしてくださっている株主・関係パートナーのみなさんのおかげです。ヤマップのメンバーを代表し、心よりお礼申し上げます。有り難うございます。

昨年に引き続き、第9期(2021年7月〜2022年6月)の決算公告をnoteにて共有いたします。理由は、下記の想いからです。

上場の有無に関わらず、会社は社会の公器である
社会の公器として、会社のプロセスや状況をできるかぎり共有し、透明性のある会社経営を行っていきたい。

また、ヤマップは個人事業者でも中小企業でもなく、ベンチャー企業です。ベンチャー企業の要件は2つだと考えています。

① 新しい市場、新しい価値をつくる
② 圧倒的に成長し、社会にインパクトを届ける

パンデミックを経て、登山・アウトドアなど自然のアクティビティの価値が社会的に見直されはじめています。登山・アウトドアが、単なる流行りで終わらず、文化として社会に根づくよう広めていくことは、ヤマップの使命だと考えています。

そのスタンスを明確にする意味をこめ、2022年8月地球とつながるよろこび。というパーパス(企業の存在意義)をあらたに掲げました。小さくまとまることなく、「圧倒的な成長」を目指して、経営を続けていく所存です。

第9期決算公告について

第9期(2021年7月〜2022年6月)の決算公告をベースに、ヤマップの今を共有いたします。

第8期と第9期の決算公告
第5期から第9期までの売上高・利益の推移

売上高は前年比159%に成長

今期の売上高は、12億2188万円です。前年同期(第8期:7億6924万円)と比べ、159%に成長しました。

第9期の主な成長の要因は下記です。
① プレミアム会員数の増加
② YAMAP STOREの売上増加
③ YAMAP登山保険の売上増加
④ 自治体や民間企業とのコラボレーション、タイアップ事業の推進

中でも、プレミアム会員数の増加とYAMAP STOREの伸びが、売上高増につながっています。

利益は前年比18%の改善

今期の利益は、マイナス2億4743万円です。前年同期(第8期:マイナス2億9798万円)と比べ、18%(プラス5055万円)改善しました。

今後も収益化を堅実に進めつつ、一定の赤字は織り込んだ上で、先行投資を続けていきます。ベンチャー企業として、短期的な売上だけでなく、中長期インパクトと長期利益を第一に、組織づくり・事業基盤固め・新規事業開発へ注力を続ける方針です。

第8期に実施した資金調達は、金融機関からの借入をメインとしています。その際、今回の第9期で債務超過(* 負債の総額が、資産の総額を超過している状態)になることは、計画していた内容です。今後、出資を軸とした資金調達を行うことで、債務超過を解消していきます。

この1年の成長の軌跡

今期の主な機能リリースについて

この1年、ユーザーのみなさんのお声やデータ分析を組み合わせながら、山の安全と楽しさを支える「山を歩きたくなるアプリ」を目指し、新しい機能を開発・リリースしてきました。

2021年8月:進行方向に合わせて地図が自動回転する新・ベーシック地図
2021年11月:すれ違ったユーザーの位置情報をすべて交換するみまもり機能アップデート
2022年3月:地図上のルートの太さで通行量が見分けられるようになる通行量の可視化
2022年5月:iPhoneで活動日記から心拍数と歩数を確認できるヘルスケア連携

以下のものは、第10期にリリースした機能になります。ご要望の多かったApple Watchへの対応も行いました。

2022年8月:活動中に目的地までのルートと所要時間が簡単にわかるルート探索機能
2022年8月:誰でも簡単に使えることにこだわったApple Watch対応版リリース

アプリのダウンロード数が300万を超える

2022年6月末で、YAMAPアプリのダウンロード数は300万件を超えました。登山業界における国内No.1のアプリとして成長を続けています。(2022年10月時点では330万ダウンロード)

循環型コミュニティポイント「DOMO」のリリース

2021年7月に、一般的なSNSで利用される承認欲求型の「いいね」から、共感・感謝・応援型の「DOMO(ドーモ)」というYAMAPオリジナルの循環型コミュニティポイントを導入しました。ユーザー同士でDOMOを送り合えるだけでなく、DOMOを通じて、森づくりや登山道整備を支援できる設計にしています。おかげさまで、リリースから1年が経ち、35万人がDOMOを活用した支援を行い、支援プロジェクトの数は19件となりました。

日本円に換算して32,694,490円を支援プロジェクトに寄付(2022年10月時点)

2022年10月には、コミュニティをベースにした"共助の取り組み"としてDOMOの可能性が評価され、グッドデザイン賞BEST100を受賞しました。

自治体との遭難対応連携が各地で進む

遭難対応や登山届けに関して、ヤマップと連携している都道府県(黄色)

遭難対策連携や登山届け連携が、各地方自治体と進んでいます。実際、ヤマップに寄せられる遭難に関するお問合せが増えています。土日を含めヤマップメンバー有志が警察などと連携し、遭難したユーザーの位置情報を共有するなど遭難救助をサポートしています。引き続き、山岳遭難の多い自治体と連携を進め、遭難道迷いの防止、遭難時の迅速な連携を進めてまいります。

複数の賞を受賞

ヤマップの成長性とサービスのユニークさが認められ、複数の賞を受賞することができました。

  • 「Ruby biz Grand prix 2021」にてグランプリを受賞

  • 経済産業省の「J-Startup」50社に選定

  • デロイトトーマツ「2021年日本テクノロジー Fast 50」7位受賞

なお、「Ruby biz Grand prix 2021」グランプリでいただいた副賞100万円は、下記の2団体にそれぞれ50万円ずつ寄付いたしました。

・アフガニスタンでの医療活動・農村復興支援事業等に取り組む「ペシャワール会
・東日本大震災の遺児支援活動等に取り組む「あしなが育英会

社員数の変遷について

創業期からの社員数の変遷

ヤマップのメンバー数(正社員数)は、2022年6月末で87人になりました。これまで同様、大規模な採用はせず、ヤマップのパーパスである「地球とつながるよろこび。」に共感する人のみを仲間にする採用を続けていきます。同じ志をもつメンバーで、純度高く事業にあたっていく企業姿勢を貫いていきたいと思います。

また、2022年7月からは、メンバーの働きやすさ向上と、居住地にとらわれない採用を実現するため、リモートワークを制度化しました。あわせて、これまで勤務地は福岡と東京の2拠点でしたが、国内であれば勤務地を自由に選べる「 居住地フリー」の制度を導入しました。早速、自然が近いエリアに移住するメンバーも出てきています。メンバー個人の働きやすさと自然体で仕事ができる人間関係を大切にしつつ、強くしなやかな会社組織を目指していきます。

今後について

登山・アウトドアの市場を広げ、登山・アウトドアの社会的意義を深めていくため、圧倒的成長と中長期インパクトを重視した経営を継続します。

今後の主な事業展開として、下記を予定しています。

  • YAMAPオリジナルブランドの立ち上げ

  • 保険を含む新しいサービスの立ち上げ

YAMAPオリジナルブランドの立ち上げ

すでにYAMAP STOREでは、YAMAPのオリジナル商品を展開しています。それらの商品とは別の、日常でも山でも使える、環境を意識したオリジナルブランドを立ち上げる予定です。オリジナル商品の開発・展開にも力を入れていきます。

保険を含む新しいサービスの立ち上げ

先日共有させていただきました通り、2022年10月31日をもって既存保険の代理店と既存保険商品をとりやめる判断をいたしました(*)。今後、2023年夏を目標に、自然と親しむ際のリスクを軽減するだけでなく、登山者の課題を解決する新サービスの立ち上げと提供を目指していきます。

* 既存保険である「YAMAP登山保険」に現在ご加入いただいているユーザーさんの補償内容はこれまでと変わりませんので、ご安心ください。詳しくは、こちらの専用ページをご覧ください。

プレミアム会員の値上げについて

先月周知させていただきました通り、2022年11月上旬に、YAMAPプレミアム会員の値上げを実施いたします。不安定な社会情勢の中でも、安定したサービスを提供し、今後の事業体制を盤石にすることを目的としています。今後、アプリの機能をより充実させてまいります。ご理解のほど、何卒よろしくお願いいたします。

最後に

起業を決意した東日本大震災から11年が経ちました。都市と自然の関係を流域でとらえ、地域を単位に、食料やエネルギーなど生きていくために必要なものをどう整え、暮らしをつくりなおしていくのか。3.11の頃以上に、切実になってきていると感じます。

登山・アウトドアを、レジャーや趣味としてだけではなく、「地球を感じ、地球とつながるアクティビティ」として社会に根づかせ、広げていくことがヤマップの存在意義です。その想いを「地球とつながるよろこび。」というパーパスに込めました。

今後、ヤマップは「地球とつながるよろこび。」を実感できるアクティビティとして、登山・アウトドアの価値向上に努めてまいります。また、山に親しむ人の数を増やすだけでなく、山の楽しみ方の多様性を紹介し、広めていく活動も行っていきます。アプリやWebなどのデジタルサービスを起点としながら、「地球とつながるよろこび。」を体験できる場づくりや森づくり、自然教育などにもトライしていく所存です。

「地球とつながるよろこび。」のイメージ

登山者のためのサービスから、自然を愛し、流域を単位に生活圏・生命圏をつくりなおそうとする人たちが集い、実践する場へと発展するよう、挑戦を続けていきます。山登り同様、目指す到達地点をイメージしつつ、畏れと謙虚さを忘れず、困難を含め楽しみながら、一歩一歩、歩いていきたいと思います。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社ヤマップ 代表取締役CEO
春山 慶彦

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