書籍 『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』 概要紹介
「こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方」 はじめに
今、私たち人類に問われているものは何か。自然観だと私は思う。自然観とは、人類も生きものであり、人間社会も自然の一部であることを前提に、どう生き、どう暮らし、どういう風土を育んでいくのかという世界観であり、生命観でもある。
なぜ、自然観が問われる時代になっているのか。東日本大震災、それに伴う福島での原発事故、新型コロナウイルスによるパンデミック、ウクライナならびにガザ地区での戦争、気候変動によって世界各地で起きる自然災害…。変化する自然環境、社会情勢の中で、私たち人類は、どう生きるのか。私たち一人ひとりの生き方が切実に問われている時代が今である。
また現代は人工知能(AI)をはじめテクノロジーの進化が著しい。そのような時代に、起業を志す学生やビジネスパーソンに必須な観点も自然観だと思う。どのような自然観をもって、人間を含めた”生きものたちのいのちのにぎわい”を真ん中に据え、テクノロジーを活用しつつ事業をつくっていくのか。どのような事業が、今を生きる一人ひとりの心に届き、社会にとってなくてはならないインフラサービスとなるのか。市場の大きさや流行りのテクノロジーを追うだけでなく、確かな自然観に根差した骨太な事業こそが、今、求められている。
養老孟司さん、中村桂子さん、池澤夏樹さん。先覚のお三方それぞれの自然観、自然に対する眼差しをお聞きしたのが本書である。自然観はその人が生きてきた歩み、生き様と密につながっている。お三方の自然観や生き様の一端に触れ、私たち自身の自然観を問い直し、深めていく契機としたい。
春山慶彦
「こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方」 目次
▼ 養老孟司との対話
自然の中で身体を動かすだけで無意識に学んでいる
身体や感覚を軽視する現代社会
今のこどもは「脳の出力」が不足している
エビデンスより「自分でやってみる」
教養とは「人の心がわかること」
思い通りにならないことに向き合う
これからはローカルの価値が高まる
いのちと風土のつながりを意識する
日本人の自然観はどう変化したか
長い時間軸で考える
日本人は昔から木を植えてきた
そんなに一生懸命頑張らなくていい
目の前の生きものは「解答集」
▼ column1
自然経験こそ最上の教育
現代社会の最大の課題
環境論と幸福論はセットで考える
日本的風土に根差した幸福論を
人も自然も豊かになっていく仕組みを
知識よりも知覚を磨くことが先
同じ方を見て、ともに学ぶ姿勢
▼ 中村桂子との対話
「へんてこ」「無駄」「弱さ」があるから生きていける
水の道と風の道
効率と競争の弊害
伝えたい四つのこと
SDGsの「上から目線」
都会のこどもと自然体験
科学の一番の問題点
なぜ少子化対策でこどもは増えないのか
一つの前提条件を当てはめるおかしさ
土地の歴史を無視してはいけない
無駄の大切さ
人間ほどへんてこな生きものはない
私たちのふるさとはみんな同じ
▼ column2
「いのちのときめき」に素直に生きると、やがてそれが「仕事」になる
「どんな職業に就きたいか」よりも「何をしたいか」が重要
自分のいのちのときめきに素直に生きる
生き方の延長にある仕事
すべては「感じる」からはじまる
能力より経験の積み重ね
▼ 池澤夏樹との対話
自然に学ぶ「インチキせずに生きる力」
二〇年ぶりの再会
星野道夫という人
アラスカの自然のメッセージ
狩猟文化の謙虚さ
すべての基本は「一人対自然」
サステーナビリティーを議論するときに必要なこと
ベンチャー企業は二一世紀の冒険
世界の捉え方と自然に対する向き合い方
住む場所をどう選ぶか
クジラと朝日、どちらも大事
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