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YAMAP分析チームと安藤さんの話

こんにちは。YAMAPデータ分析チームの松本です。

みなさんご存知のとおり、2021年3月末をもって@goandoさんがYAMAPのCXOをご退任されました。

今回はYAMAPのプロダクトに素晴らしい貢献をされた安藤さんに敬意を払いつつ、私から見た安藤さんについて、手短にですが書かせて頂きたいと思います。

データ分析チームの誕生と、安藤さんの加入

YAMAPのデータ分析チームの誕生と、安藤さんの加入は、同時期でした。

バックエンド開発者だった私が「もっとデータ活用をしよう!」と、データ分析チームを立ち上げたのが2018年末。一方でUI/UXに課題を抱えていた我々が安藤さんに協力を仰いだのも、2018年末でした。

チームを立ち上げたものの分析や統計は素人だった私は、データにも強いあのGo Andoが加入するという話を聞き、「いきなり波乱の予感!」とビビりました。


UI/UX 改善とユーザー目線

共同作業が始まり、安藤さんはまずUI/UXの改善をスピーディーに進めました。

この段階ではまだ、データ分析はそこまで活用していなかったと思います。明らかなUXの課題に取り組み、UIを刷新していっている印象でした。

私はこの時期のミーティングでの一幕をよく覚えています。それは安藤さんから、以下のようなUI刷新のご提案があった時の事でした。

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fig. 活動日記画面の軌跡と標高グラフ UI. 左が旧来で、右が安藤さんの提案

右の方が良いことは一目瞭然でしたが、私は気になったことを質問しました。

なぜ軌跡上の写真アイコンが、デフォルト非表示なのですか?

私の記憶によると、安藤さんは以下のように答えてくださいました。

登山者が先ず知りたいのは「どう歩いたか」ではないだろうか。その上では、写真アイコンは視覚の妨げになると思った。写真アイコンは軌跡の詳細画面で表示させたい。

私はイチ登山者として納得すると同時に、安藤さんが登山者目線でUI/UXを真摯に考えてくださっていると実感でき、とても嬉しく思いました。

実際、安藤さんは登山によく行かれてましたし、他の登山者との会話からもプロダクトのヒントを得ようとされていました。


成長サイクルの定義とKPI観測による成功事例

ご退任の記事 でも触れられている通り、安藤さんはYAMAPにプロダクトの成長サイクルをインストールしました。

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fig. 安藤さん手書きの成長サイクル

そのサイクルの各点にはKPIを設定し、観測できる状態にしました。

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fig. 成長サイクルとKPIの図解(初版)

この観測が活きた例として印象深いのは、2019年夏に行われたバッジ施策です。

上記 KPI を可視化すると、活動日記の公開率が、緩やかにダウントレンドである事が分かりました。具体的には「ある週に活動日記を作ったユーザー数に占める、活動日記を公開したユーザー数の割合が低下している」と、安藤さんより指摘を頂いたのです。

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fig. 活動日記作成ユーザー数に占める、公開ユーザー数の割合(weekly). 2019年夏前に緩やかなダウントレンドを観測

成長サイクルでは、公開された活動日記はSEO → 新規ユーザー獲得へと繋がることが定義されています。私達はすぐに、これは新規ユーザー獲得の悪化に繋がりうる重要課題であると認識することができました。

そしてこの問題を解決するため、私達は既に実装されていたバッジ機能を拡張して、活動日記の公開を促す施策を行うことを決めました。具体的には、日記の公開を条件に、その日記で登頂した山に応じたバッジを獲得できるように開発を行い、合わせて多くの種類のバッジをリリースしたのです。

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fig. 活動日記作成ユーザー数に占める、公開ユーザー数の割合(weekly). 2020年春以降は新型コロナウィルスの影響が大きいが、バッジ施策でKPIを改善できていることが分かる

この施策は日記の公開を後押しして、狙い通り KPI の改善に貢献しました。成長サイクルを定義してプロダクトの健康状態を定点観測し、問題を検知して対策を行う... という好例でした。


データや提案を、いかに伝えるか

安藤さんの活動は、徐々にデータ分析や事業戦略へと、広がっていきました。各分析においても、目の付け所、仮説立て、分析設計など、安藤さんからは多くのことを勉強させて頂きました。

ですが、私にとって最も際立って見えたのは「データや考えを、いかに他人に伝えるか」という点でした。

安藤さんの資料には、下記の要素が際立っていました。

・プロダクトの科学やUXに関わる理論背景に明るい
・それらを知っているだけでなく、YAMAPに落とし込んで思考・整理されている
・明快なワーディング、わかりやすいグラフ、論理的な文章の組み立て

この辺りは安藤さんのnoteTwitterからも、強く伺えるのではないかと思います。


まとめ

以上、安藤さんとの2年間を、私目線で振り返ってみました。

印象深かったのは、これまで述べたように、

・ご自身もユーザーであり、ユーザー目線を貫くこと
・プロダクトの成長サイクルという大きな地図を作り、常にそこに立ち返って考えること
・他人に伝える力

でした。

また分析チームとしては、安藤さんと共に分析を行って結果を出していけたことは、YAMAPにデータドリブンな文化を作っていく上でも良い推進剤になったと思っています。

私個人は、安藤さんと意見を異にする事もありましたが、その時は建設的な議論をさせて頂き、多くの学びを頂きました。一緒にお仕事ができ、刺激的で、私自身成長させて頂いた実感があり、大変感謝しております。

安藤さん、2年間、お疲れ様でした & ありがとうございました!


最後に、YAMAPデータ分析チームとは

最後に、YAMAPのデータ分析チームの取り組みをご紹介させてください。

上記の通り、チームは発足して2年半が経ちました。最初は私1人でしたが、徐々に仲間が増えて今は3人です。

このチームの特徴的なことを挙げるならば、

・データの民主化を推進し、開発〜ビジネスサイドまでデータ活用を実現していること。そのためにLookerを早くから利用していること
・登山の行動データを分析して価値に変え、ユーザーに還元していること

でしょう。

前者は「Lookerという優れたツールとの出会い」「YAMAPメンバーの元来のデータへの意識の高さ」「それらを繋げるための分析チームの努力」という3要素により、達成できたと考えています。

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fig. Lookerのダッシュボードの例

詳しくは、以下のケーススタディをご覧ください。
https://info.looker.com/looker-japan/jpn-yamap-casestudy

データの民主化の威力は凄まじく、今では当たり前のように各チームがLookerでデータを探索してアクションし、成果を上げています。

後者は、登山データを扱う我々ならではのユニークな取り組みで、代表例として「伊能忠敬プロジェクト」があります。ユーザーのGPSビッグデータから登山道を抽出して地図に反映することで、地図の情報量と正確性を向上しています。

また分析チームからプロダクト開発チームへの機能提案も活発です。近日リリースする「活動日記で登山の歩行ペースを振り返る機能」は、その一例です。情報サービスにおいてデータは最重要項目ですので、私達は分析の枠に留まらず、積極的に活動しています。

ということで、安藤さんとの2年間の振り返りと、ついでに分析チームの紹介もさせて頂きました。

安藤さんに笑われんよう、ますます頑張るけん!(博多

Fin.

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