深呼吸できるくらい、「気持ちいい」ブランドへ 〜工藤拓真さんが社外取締役としてヤマップにジョインしました〜
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深呼吸できるくらい、「気持ちいい」ブランドへ 〜工藤拓真さんが社外取締役としてヤマップにジョインしました〜

YAMAP / ヤマップ

2022年1月から、社外取締役としてヤマップに参画した工藤拓真さん。工藤さんは、ブランディングやマーケティングの経験を生かし、多くのスタートアップ企業の組織や事業づくりに携わってきました。工藤さんから見たヤマップのこれまでとこれから。ヤマップとともに何を目指すのか?代表取締役・春山との対談をお届けします。

工藤さんがヤマップにジョインしたきっかけ

―工藤さん、まずは簡単に自己紹介をお願いします。

工藤:2011年の震災の年に社会人になって、電通という会社に入社しました。当時は文化や時代をつくるぞという気概で広告の仕事に携わっていたんですけど、一方で広告の枠にとらわれずにいろんなことができるようになったらいいなとも思っていました。そんな中、2016年にユーザベースという会社のNewsPicksというブランドと仕事をするようになり、そこからスタートアップ企業のブランディングやマーケティングのお手伝いをするようになりました。その後、2020年9月に自分でBRANDFARMという会社を立ち上げ、同時にdofというクリエイティブエージェンシーの役員もやっています。

今も、広告の仕事を行いつつ、スタートアップや大企業の新規事業開発系の人たちと、新しいブランドや新しい事業をつくる仕事をすることが多いですね。

工藤拓真さん

―春山さんにお聞きします。工藤さんが、社外取締役としてヤマップに加入された経緯や、工藤さんに期待することを教えてください。

春山:dofの代表である齋藤太郎さんと親交があり、太郎さんと山に登りながら、ヤマップのブランディングについて話を聞いてもらっていました。そのとき、工藤さんのお名前が上がったんです。ヤマップがこれから目指していくことと、工藤さんが経験されてきたことが重なっていると感じました。ちょうど社外取締役の方を探していたこともあり、工藤さんにお声がけをし、社外取締役としてジョインしていただきました。

ヤマップ代表取締役・春山慶彦

現在、登山地図アプリ「YAMAP(ヤマップ)」のダウンロード数は、290万件を超えました。国内の登山人口は約700万人弱と言われているので、YAMAPのシェアは約4割になります。今後は登山市場に限定せず、社会の中で「登山」というアクティビティをどう位置づけるかというチャレンジをしていきたい。従来の登山は、中高年の方々の趣味のイメージ、高い山など厳しい環境での冒険・探検のイメージが強かったと思います。そのイメージを尊重しつつも、ヘルスケアやマインドフルネスなど、裾野の広いアクティビティとして登山を社会に位置づけなおしていきたいんです。

今、登山をしていない人に登山の楽しさや気持ちよさをどう届けていくか。これは難易度の高い仕事です。そのため、経験のある方、広く社会を見ている方と一緒に仕事をした方が実現可能性は高まると思い、工藤さんにお願いをしました。

―工藤さんが実際にヤマップの中に入って感じたことや、印象が変わったことはありますか?

工藤:メンバー間のやり取りが、とてもアクティブだと思いました。会議でも主体的にみんなが動こうとしているし、各々が自立・自走している環境をつくれているのがすごいなと思います。それと、みんなの発言一つ一つも「思いつきですけど…」とか言いつつ、ずっと考えていたとしか思えないようなことを持っている人が多くて、「思考量」が多い会社だなと感じました。

思考量って効率を邪魔する場合が多いので、特にスピード重視のスタートアップでは「考えないで走れ」みたいな面があると思うんです。ブランディングやマーケティングで加速したいとき、トップダウンでみんなを従わせるような会社が多い中、ヤマップはみんなが思考量多く仕事をしているのがとても素敵だと思いました。その良さは殺さずに、でも考えているだけの頭デッカチにはならないようにする。それも、クリエイティブやブランディングに関わらせていただく自分の仕事の一つだと思いました。

登山の「底上げ」は、自身のちっぽけな存在を感じることから

工藤:登山の可能性について春山さんが語る姿が、とっても面白いんです。ぜひテキストだけではなく、動画で見ていただきたいぐらい(笑)。春山さんの語る登山には、仏教的な世界がひろがっていますよね。自分の命は環境・風土の一部であることを知る喜びこそ、登山の喜びなんだ、といった話とか。

春山:虫、木々、草花、川、風 ... 山は人間とはちがう時間軸をもつ生物・無生物が多層に折り重なる場所でもあります。そんな山に身を浸し、山を歩くことで、自分の命もまた全体の一部であることが素直に感じられるんです。今を生きていることの奇跡を実感できる。

宇宙に行くより、大地の上を歩きながら「ここが宇宙だ」と実感できる感性こそ、大切にしたい。宇宙を感じるのに、地球の外に出る必要はないんです。宇宙や全体とのつながりを感じながら、今を生きる。この感覚を呼び覚ますことができるのが登山であり、現代における登山の可能性だと思うんです。

工藤:そういう経験を日常の中でどう獲得するのかは課題ですね。年末に九州・大分に帰省して感じたんですけど、実は都市に住んでいる人よりも、田舎に住んでいる人の方が、自然から遠ざかっている場合があります。物理的には山が近いのに、心理的にはかなり遠いというか。こういった状況を変えるために、多様なブランド接点を用意して、多くの人を巻き込んでいかなければと思っています。ヤマップは九州・福岡発だからこそ、これをやる意義があるなとも。

春山:この2〜3年で、登山の社会的意義を引き上げ、登山人口を増やしていきたい。コロナ禍の経験を踏まえ、自然の中で体を動かすことの価値や楽しさを、多くの人が実感しているときでもありますし。

山というフィールドを、ヘルスケアやマインドフルネスはもちろん、教育の分野でも活用してもらえるよう、登山の価値や意義を広げていきたい。そして、水、空気、土など恵みを生み出す「山」に対する畏敬の念も、あわせて育んでいけたらと思っています。

ヤマップのオフィスに飾られている星野道夫さんの写真と今西錦司さんの言葉

人類が豊かになることと、環境が豊かになることをつなげたい

―ヤマップでこれから力を入れていきたいことは何ですか?

工藤:もちろん、ユーザー拡大や売上向上は大事です。と同時に、打ち手の一つひとつが、ヤマップが目指しているソーシャルインパクト(社会的影響力)から逆算されているのが理想です。ソーシャルインパクトを綺麗事で終わらせず、経営の意思決定に取り入れるために、「ロジックモデル」という手法で向こう10年の指針が、ヤマップでは描かれていますよね。僕も春山さんから、この「ロジックモデル」の説明を受けるところから始まりました。

※ヤマップのロジックモデル詳細については下記noteにて

特にWell being(ウェルビーイング)の三重円が重要だと思っています。この図をもとに、春山さんの話を伺ったとき、登山者向けアプリを提供している先に描いている未来が見えたんです。

YAMAPの考えるWell beingの三重円

ちょっと物騒な言い方になりますが、この会社はきっと、「現代人の幸福のために、環境を犠牲にしてきた時代を終わらせる」ために生まれてきたんだ、とわかったんです。

春山:人類が豊かになることで、環境が悪くなる。ここに、現代の不幸があると私は思います。人類が豊かになることと環境が豊かになることをつなげていきたい。ここにこそ、アウトドア体験の価値があり、ヤマップの存在意義があります。また、これはヤマップだけでなく、現代を生きる人類全体のミッションだとも思っています。 

工藤:一方で、今のようなお話を、押し付けがましく展開するのもヤマップらしくない。「重たい、めんどくさい」と思われないためには、語ること以上に、感じさせることが大事になってくる。その意味で、このタイミングでブランディングに全力投球することは、ヤマップの経営にとって必然なんだと思います。

春山:Well beingの三重円を実現するためにも、インターネット空間に満足せず、リアルでの場づくりにも挑戦していきたいです。里山のように、人の手が入ることで生物が増え、環境が豊かになる場所を、小さくとも具体的につくっていきたい。山というフィールドの可能性を多くの人が実感できる場所を、自分たちで整えていきたい。具体的に体感できる場所があるからこそ、多くの人の心に届くし、ヤマップが目指していることも、意味ではなく経験として理解・共感してもらえる気がしています。また、リアルの場そのものが、ブランディングにも広告にもなると感じています。 

工藤:山と現代人、あるいは、自然と人間をつなぐ架け橋を、どれだけつくれるかがこれからの仕事のひとつですよね。場という架け橋もあれば、テクノロジーという架け橋もある。気軽に取り入れられる道具という架け橋もあるのかもしれない。コミュニティや教育、旅行という架け橋だってある。

ヤマップは「心から気持ちいい会社」になれるかもしれない 

工藤:僕がヤマップに可能性を感じているのは、ヤマップは「心から気持ちいい会社」になれるかもしれないということです。深呼吸できるくらい、心の底から「気持ちいい」ってなることは、今の時代ではすごく難しい...。それこそ何かを犠牲にしてたら気持ちいいって感じられないですよね。ただ、みんな気持ちよくなりたいはずなんです、当たり前ですけど。

「環境意識が高まっていいよね」と外で言うと、一歩間違えるとめんどくさいと思われることもありますが、春山さんが笑顔でよく言うように、自然とかかわることって、本来は超楽しいことなはず。ヤマップは、DOMO(ドーモ)というコミュニティポイントを通じて、登山者の方々と、登山道整備や森をつくるプロジェクトなどを行っています。山を歩くだけでなく、登山道を整備したり森を一緒につくることで、山との関係性が深まれば自分も他の人も楽しいし、何より気持ちがいい。ヤマップがそういう気持ちいいブランドになったらいいなと思います。 

2025年には、日本の労働人口の約半数がミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になった世代)以降になる、という話を最近よく耳にします。ミレニアル世代は「単なる消費ってどうなんだろう?」って、どこかで思っている。使い捨ての消費に疑問を持つ人が増えてくる中で、「すべては巡っている」といった循環の感覚は、もっと当たり前になってくるんじゃないでしょうか。 

そういう人たちがまさに「気持ちよく」というか、「ここで買い物するってなんかいいな」とか、「こういう週末を過ごしてる私って気持ちいいな」って心から思えるようなきっかけをヤマップがつくっていく。本業で稼いだお金の余剰で社会貢献をする、といったCSR的な貢献ではなく、「ヤマップは生業自体が社会貢献であり、循環なんです」と言える、稀有な存在だと思います。そんなブランドを一緒に太く強くしていけると思うと、とてもワクワクします。何より、そんなお手伝いができたら、僕自身が、働いていて気持ちいいな、と心の底から思えます。

春山:自分にとって気持ちがいいこと。相手にとっても気持ちがいいこと。それが地域にとっても、環境にとっても気持ちがいいことになったら、これこそ「最高の気持ちいい」「最高の幸せ」になる。Well beingの三重円を実現するには困難をともないますが、目指す世界を実現するため、一つひとつ形づくっていきたいと思います。 

FIN.

場所:YAMAP STORE FUKUOKA
ライター:米村 奈穂
撮影・編集:﨑村 昂立

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