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YAMAPの登山ルートが地球一周分になりました (by 伊能忠敬プロジェクト)

YAMAP データ分析チームの松本です。
早くも2021年が終わろうとしています。皆さんにとって、今年はどんな一年でしたか?

私は、とにかくルートと GPS、写真データと向き合い続けた一年でした。プライベートではルートのない山を楽しむことが増え、まだまだ山に対して無知であることや、人々が自然を楽しむ上では、自然に配慮したルート整備が大変重要であることを、身を以て知ることが出来た一年でした。

YAMA LIFE CAMPUS「登山道整備」編レポート記事より

さて、およそ一年半前から YAMAP では「伊能忠敬プロジェクト」を始動し、ユーザーの皆様のGPS データを分析して地図に反映していく取り組みをおこなってきました。今日はこの成果と、来年への展望をまとめたいと思います。

YAMAP の登山ルートは地球一周分相当に

日本アルプスなどの壮観な尾根道から、お地蔵さんが見守る里山の道まで、全国津々浦々の山のルートを網羅し、重宝頂いているYAMAPの地図ですが、すべての登山ルートを繋げたら、なんとその距離が4.1万キロメートルにまで伸長していることがわかりました。
地球一周分が約4万キロとのことですので、厳密に申し上げれば、超えたことになりますね。登山ルートの大部分は、一人の専属担当者の頑張りで作られた賜物でもあります。

YAMAPの地図 / 全長4.1万km(地球一周分相当)になりました

伊能忠敬プロジェクトで追加したルートは、
日本〜オーストラリア大陸間相当に

伊能忠敬プロジェクトによる、新たな登山道の追加はまだまだ最近の取り組みです。
2020年8月にスタートした伊能忠敬プロジェクト は、ユーザーの GPS データからルートを抽出します。実際にそこを歩いた人のデータを元にしているため、客観的な基準のもとにルートやコースタイムを設定することが出来ます。(参考記事

言うまでもなく、これが出来るのは YAMAP を使って登山してくださるユーザーの皆様がいるお陰です。ユーザーの皆様の普段の登山が、実はみんなの安全に貢献している、そういう繋がりを感じて頂ければ嬉しいです。

みんなのデータが登山の安全につながっている(作画・松本)

そして、この伊能忠敬プロジェクトでこれまで追加してきたルートは、延べ全長 6,000 キロメートルとなりました。なかなかイメージしにくいかもしれませんが、これは日本とオーストラリア大陸間の距離と同程度です。

感慨深い距離です

ルート追加のやりがいと責任を感じています

さて、ルートを追加することで、YAMAP ユーザーの登山は、どの様に変わるのでしょうか?ここでは伊能忠敬プロジェクトでルートが追加された2つの山頂について、追加前後での登頂者数の変化を見てみます。

真山・本山・毛無山(男鹿三山/秋田県)

秋田県は男鹿半島の本山(715m)の、月ごとの活動日記の数です。

黄色がルート追加後に作られた活動日記

青色がルート追加前に作られた日記で、黄色は追加後に作られた日記です。ルートが追加されて、少なくとも 3 倍程度は登山者が急増していることが分かりますね。

近くには美しい鵜ノ崎海岸があり、秋田のウユニ塩湖と呼ばれているそうです。

写真はk- タカシさんの活動日記より、宵の鵜ノ崎海岸

大幡前山(宮崎県)

宮崎県小林市の大幡前山(1296m)は、主峰の大幡山の隣の山です。山上には大幡池があり、春はミヤマキリシマが美しい山だそうです。

こちらもルート追加した後、登山者が 3 倍近く増えていることが分かります。

写真はいきいき桜さんの活動日記より、冬の午後の大幡池

このように、地図にルートを追加することで、そこの登山者数は3倍程度に増加します。より多くの人に登山を楽しんで頂けている手応えを感じる一方で、不用意に危険なルートを追加することがないようにと責任も感じます。

伊能忠敬プロジェクトでの新規ルート追加は、最終的には人がチェックを行う体制をとっており、皆様の活動日記を解析して危険な痕跡がないかも確認するようにしています。

来年はルート情報の鮮度向上に取り組みます

このように、豊富なルート情報を持つ YAMAP の地図とそれを支える伊能忠敬プロジェクトですが、まだまだ満足はしていません。
来年は、ルート情報の鮮度を向上したいと考えています。

地球一周分の登山ルート情報も、そのまま放置していてはどんどん情報が古くなり、使い物にならなくなってしまいます。
街に比べれば山の状況は変わりづらく、基本的には同じルートが整備されながらずっと使われます。
しかし、一度自然災害が発生してルートが変わったり、廃道になった場合は、情報を早期に反映することが求められます。古い地図情報をもとに登山をすることは危険です。

そのため、来年は各ルートに対応する通行量データを管理し、急な通行量の変化からルートの異常を検知する仕組みを作りたい。そして今以上に量・質の良い登山地図情報を、ユーザーの皆様にお届けしていきたいと考えています。