テクノロジーで山の体験をアップデートするYAMAPの取り組み
YAMAPのCXOをしております、@goandoです。
今日はYAMAPが現在進めている「テクノロジーで山の体験をアップデートする」プロジェクトの一つである「Mountaineering Visualization Project」についてご紹介したいと思います。
Mountaineering Visualization Projectとは
いま世界は、ありとあらゆるものがデータ化されつつあります。Google Mapsの登場を皮切りに、建物も道も、あらゆる地形がデータ化され、地球上のほとんどの場所をブラウザで検索するだけで眺めることができるようになりました。
一方で「山」という場所に目を向けてみると、そこはまだテクノロジーが未発達で、データ化の余地が大いにある領域です。
YAMAPにはサービスを開始して以来、YAMAPユーザーの方々が日本中の山という山を歩いた膨大な量の行動データがあります。このプロジェクトはこれらのビッグデータを活用し、山での体験をより楽しく、もっと安全にアップデートしていくチャレンジです。
山での人々の行動のビジュアリゼーション
私がYAMAPのCXOに就任して以来、THE GUILDの奥田(@alumican_net)とYAMAPのデータチームと協力して、山での人々の行動の可視化を試みてきました。
上記のムービーは北アルプスでの、ある一日のYAMAPユーザーの行動を可視化したプロトタイプです。北アルプスという広大な山域を人々がどのように動いているのかをビジュアライズしました。
これはYAMAPのビッグデータを活用したほんの一例に過ぎませんが、このようなデータ活用で、山の体験のどんな部分をアップデートすることができるのか、これからのチャレンジについて紹介していきます。
1. 山に行く前の、よりリアルな情報収集
山で安全に楽しく過ごすために、まず一番大事な事は「情報収集」です。
自分の体力と経験ではどの山に行くことができるのか。どのような行程でルートを歩けば、安全に一日を楽しんで山から下りてくることができるのか。
残念ながら事故が起きる原因の大きな部分に、情報収集の不足があると考えられます。情報収集はユーザーのスキルに依存するため、ここにテクノロジーを活用することで大きく前進できる余地があります。
例えば、画一的なコースタイムではなく、年齢や登山歴、または季節に応じたコースタイムの分布表示。これらのデータを可視化するだけでなく、ユーザーのプロフィールに応じて適合率によるリコメンデーションが可能です。
2. 登山記録の新しいあり方
登山の楽しさの一つに「記録を残すこと」があります。
記録の残し方や振り返り方は人それぞれで、撮った写真を眺めたり、日記を付けたり、YAMAPに活動記録を残したり様々です。
新たなテクノロジーを活用することで、記録をより鮮明に、価値あるものにすることができます。
例えば自分が通ったルートを立体的な3Dで見返すことで、自分がどのような地形に、どのような時間軸で居たのか俯瞰することができます。わたし自身、この技術を使って山行記録を俯瞰視した時に、自分の視点では全く気づくことができなかった発見が数多くありました。
こうした複数の視点からその山行を振り返ることで、記憶がより鮮明になったことを覚えています。早くこの体験をYAMAPユーザーの皆様にお届けしたいと思っています。
3. 自治体との連携
これまでにもYAMAPは国土地理院と連携して、地形図の更新のために協力をしてきましたが、更に有効なデータ提供ができる余地があると考えています。
また、もしYAMAPユーザーが遭難をした際には自治体と連携することで、該当の登山者がいつどのような経路で行動をしたのかリアルタイムの情報提供を行い、捜索活動の在り方を大きくアップデートできる可能性があります。
まとめ
以上に挙げた以外にも、まだまだテクノロジーで山の体験を向上できる可能性が数多くあると考えています。
今回見ていただいた技術をベースにした新機能や機能改善は、今年の後半に順次ローンチしていく予定です。ご期待ください。
YAMAPは社員の半数以上がエンジニアのテクノロジー企業です。今後も「テクノロジーで都市と自然を繋ぐ」というミッションの元、技術を活用して山の体験をアップデートして参ります。