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YAMAP流域地図をリリースして
YAMAP代表の春山慶彦です。
2024年5月13日、YAMAP流域地図をリリ−スすることができました。構想から約3年、ようやく陽の目をみることができ、ほっとしています。リリース後、多方面から反響をいただけたことは、予想外のギフトでした。(※1)
この反響を受けて思ったことがあり、noteに綴りました。短い記事ですので、お付き合いください。
反響をいただけているのはなぜか。主に2つの背景があると思います。
ひとつは、岸由二先生(慶大名誉教授)が提唱されている流域思考。自分たちが暮らす足もとの大地を流域という地形でとらえる流域思考は、岸先生の人生、生き様そのものです。流域思考という思想のベースがなければ流域地図はそもそもつくれませんでした。また、岸先生やNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)のみなさんが、鶴見川流域や三浦半島・小網代にて流域思考の実践を、長年に渡って積み重ねてきたからこそ、今回の流域地図の反響につながったのだと思います。
もうひとつは地図というツール。どんなにすばらしい思想や哲学であっても、多くの人が使えるツールとわかりやすいビジュアルに昇華させないと、社会実装は難しい。今回、地図というツールに、流域という生命圏を可視化できたからこそ、多くの方へ直感的に伝わったのだと思います。その意味で、地図は社会にもっとも影響を与えるキャンバスでもあることを再認識する機会になりました。(※2)
流域地図は、YAMAPが起こしたイノベーションのひとつ。流域地図開発にたずさわってくれたメンバー、流域地図開発を受け入れ支えてくれたメンバー、関係者のみなさまに心から感謝します。
ご利用いただいた方のご意見やフィードバックを参考にさせていただきながら、流域地図を育ててまいります。
※1 :気候変動が進む今、地域を流域でとらえる生命圏の考え方は、時代が求めているものでもあると思う。今後、AIや宇宙産業は加速度的に発展するだろう。だからこそ、惑星の視点と足もとの視点の中間にある流域という手ざわりのある生命圏が、より重要になってくる。このあたりを書き出すと長くなるので、気になる方は成田悠輔さんと対談したときの巡礼の話、岸由二さんと対談したときのこの話をご覧いただけると。
※2:地図は、人間の世界観の象徴でもあると思う。100年前、1000年前に生きた人類が、世界をどのように認識していたのかを知りたければ、その当時の地図を見るとよくわかる。そう考えると、人間の世界観、生命観を塗りかえたいのであれば、地図を更新するのがもっともインパクトが大きいのではないか。目指す未来を見据えた自然観・社会観・事業観を、地図という人類共通のツールに表現することができたら、よい一石を投じることができるのではないか。社名にMAPを内包していることの宿命を感じる。
流域地図の今後の展望について
今回の流域地図は、テスト版の位置づけです。今後、下記の機能を盛り込む予定です。
流域を単位とした洪水浸水に関するデジタルハザードマップの表示
流域を単位とした土砂災害に関するデジタルハザードマップの表示
宇宙衛星観測画像を活用しつつ、水・土・大気、山・森・川・海などの自然資本を計測し、流域地図に表示
小学校、中学校など学校での環境教育、理科・地理教育でも積極的に流域地図をご活用いただければ幸いです。
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